直己ですから!
テレビ(ときどき映画たまにお芝居)斜め読み By 高橋晶

NHLスペシャル「ラストメッセージ4」。

この年になって、ようやく植村直己の旨味がわかってきた。
キャスターが呼び捨てにするのを聞いて、思わずムッとしてしまった。
けど、もう23年になるんだね、消息を絶ってから。

その2年ほど前のVだって。
人前で講演なんていう、最も苦手そうな場面で、毅然としゃべる、とても毅然そうにみえないところが、ともかく新鮮な印象。

兵庫県のど田舎の七人兄弟の末っ子の植村。
アメ横ワンゲル装備でピカピカの植村。
新入登山でヘトヘトになる植村。
就職試験にことごとく落ちる植村。
日本人初登頂のエベレストで、頂上を先輩に譲る植村。
下のキャンプで待つ隊員のために、頂上の小石を拾う植村。
南極横断の練習だったマッキンリーの帰りに、姿を消した植村。
何もかもが植村直己。ちょっとほかにいない。新鮮だ。
遺体どこにも見つからないし。その意味でも新鮮のまま。

感動したぁ。明治ですから!