暴れん坊ママさん(讃)
テレビ(ときどき映画たまにお芝居)斜め読み By 高橋晶
今クールのドラマ。
不作のなかでも唯一光っていたのは「暴れん坊ママ」です。
あくまで個人的ですが、うまく期待を裏切ってくれました。
いや、よく描かれていた。いろんな面で。
キャスティングに一切モレがないというのは大きいけれど、何より筋が通っている。
いや、通らなきゃドラマじゃないんだけど、最近、通ってないものが多すぎるもんで。
主人公のあゆ(上戸彩ちゃんハマリ役、天才!)が、子連れの大泉洋と結婚して、最初は「聞いてないよ」状態だった息子との距離がぐんぐん縮まって、幼稚園のママ連との軋轢もうまいことこなして、最後に「クレイマークレイマー」並みの別れがあって。
そりゃどれもこれもお約束なんだけど、一つ一つがきっちり描かれている。
夫の大泉=バナナマンの日村=歯医者の坊ちゃん東幹久の、幼なじみの関係性とか、お受験落ちたともさかりえ(顔ゆがんでるなー)の立場とか、岡江久美子園長なんか抜群の位置取り。
ていねいなんだよね。
何を偉そうに語るでもなく、1話ごとに「そうだよなー」と共感できる。
一方で、わかっていても「やっぱりそうだったか」と驚いたり。
キャラがブレないからだ。最初から最後まで。
これ、かなりきっちり創り込んであるんだろう。ハコの段階から。
その反面、話が進んでいくと、無駄なものはどんどん潔く捨てていく。
ママたちの各キャラとか、元妻の言動とか、「これくらいでいいや」という感じで、適度に薄めていくから、その分、言いたいことが際立つしくみ。
11回。同じなのに、なんでこんなふうに作れないんだろう。
どこかナメてかかってるんだろうな。
11回の手法というのがいくつかに絞られて、マニュアル通りにこなせば何とかなると思っている。
決めゼリフだとか、お約束シーンとか、死んじゃうとか病気とか。
NHKの「ハゲタカ」まで望まないけど、いくらなんでもペラすぎないか。
月9も何か、サービスカットが話題になっていたようですけど、初回で見た福山くんの役作りがあんまり苦しそうで。
「働きマン」のカンノもそうだけど。
まあ、ピン子すら自分探ししてるんだから。
坂口にいたっては、役の意味すらわかってないような。
いずれにしても、今クールは火曜だけ。
「スワンの馬鹿」も、誰一人吸引力がないのに頑張った(まさにスワニー)ということで。
どちらも共同テレビ制作。
しかも「暴れん坊ママ」のプロデューサーは佐藤祐市。あの「キサラギ」の。
今年見た数少ない映画のベスト1であるところの。
よし、これからドラマは共同テレビ。
来年は「鹿男あをによし」。
そしてぜひとも「りぼん」の映画化を。
いや、あまり期待するとまた…。