u子の山陰便り たかが移転、されど地方暮らし

 山陰にやってきて4年以上が過ぎました。未だに「よくこんな所に東京から来ましたね」と言われます。
東京で仕事をしていた時から地方出張は多かったし、必要なら移転することは、苦でも何でもない私は言われる度、奇異に感じました。

 ごく最近の法事の席でも親戚の人から「よく生活していますね」と言われました。
最初は珍しいからそう言うのかな?とか、気の毒がっていろいろ心配して頂くのかと思いました。
特に美味しい物など優先的に頂けると得なので、はあ、ご心配ありがとうございます、という感じでした。

 しかしさすがに3年を越えた今は違和感があります。
いったい私は何年この地にいたら、“よくまあ、こんな土地にやってきて”といわれなくなるのでしょうね。
まず思うことは、
「我々のシマに入れていないよ」という宣言なのか
その次に思うことは、「もの好きな人だ」という自分たちとの差別か
そして「いつまで続くやら・・」という呆れ気分の現われなのか
とひねくれた見方もできます。
東京から地方に行くことを、確かに都落ちだの、ドサ回りだの、左遷だのと言い、私の先輩達は地方移転することを良くは言わなかったけれど今の私にはどうも抵抗があります。

 そして今年は審議会に参加したり、山陰商品販売サイトを開始したり、大きなイベントのボランティアスタッフになったり、少しばかりこの地の人の中に入ってみました。
その結果、
“縄張りがありました”
過去からの義理人情で物言えぬ風潮もありました。
ソリがあわず争う姿も見ました。
でも、東京で見たことや感じたことと、大差はありませんでした。

 ありがたいことに心ある人たちともたくさん巡り会いました。
特に素敵だったことは様々な経緯から事業を受け継ぎ一生懸命に働いておられる女性経営者達との出会いでした。
率直に自分の考えを語り、また私の話にも耳を傾けるゆとりを持つ魅力的な人たちでした。
真摯に事業に向き合う人のスキルを見ました。
誠実に事業に取り組み結果を出しておられる経営者や経営経験者達の話を聞けるチャンスにも恵まれ、頑張りぬく姿に出会いました。
振り返ってみると、田舎とか地方だから、東京より遅れているとか、下手だとか、の差などありません。

 もういい加減に、都市が進んでいる、地方はダメだという意識は止めたほうが得策かもしれないと思うのです。
確かに、地方では東京の風潮が3年後くらいに反映することはあります。

 交通機関も車中心で地下鉄などありません。
美術展もコンサートも少ないかもしれません。
人口は減少の一途だし、未だに、メールを送信したら電話しないと、開かないことにも遭遇します。
人の移動も少ない。

 しかし、しかし〜
ベーシックな「人の心」や「思い」は変わらず、意欲をもって努力する人はどんな土地にも厳然とおられ、明るく毎日取り組んでおられます。
地方は地方として努力することは何といっても大切なことです。
まだ目立たなくても頑張る人はいづこの地にもおられる・・・
来年は、よく東京からこんな所に来ましたね、といわれたら「ウエダがいい人だから来たのです、来てよかったと思っています」とのろけてしまおうかと思います。

 今年もまた私自身はネットワークを使う環境と読者の皆様に支えられました。
ありがとうございます。
よいお年をお迎えください。                  
                      ああ、読者も鬼も笑っている〜